ゆきみち

2021/12/27

あっつい、珈琲ちょうだい。
常連のMさんは、大抵そう言って椅子に腰をおろす。
心もこめて、あっつい珈琲を淹れる時間がとても好きだ。
水は冷たいのが好みのMさんに氷をしっかりいれたお水と、お砂糖をセットして渡す。

先日も雪がちらつく早朝、いつもより少し早めの時間、カフェに一番のりできてくれた。
雪がふってたのに、つっかけで登場。
「ちょっとみてみぃー」と、いつものあっつい珈琲の注文をする前に呼ばれて扉の外をみたらうっすら道路に雪がつもっていた
そのまっさらできれいな雪道に
Mさんのおうちから、たみまでの間を
てんてん。。っとMさんの足跡だけが雪道に
のこっていた。
「きれいですね。寄り道しないできてくれたんですね」
なんだかきれいで、一緒にみれたのが嬉しかった。
Mさんが帰る時、外に出たら
「もうなくなっちゃったな」
ボソッといいのこして、いつものように振り向かずさっそうと、かえっていった。

何てことない会話、何てことない話。
でも、映画のワンシーンの中にいたような。
私の最近の大事なたみの思い出。

(わたなべ)

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