ヨーソロー!
2018/04/12
最後の夜、「たみで印象に残ってることベスト3は?」と聞かれた。
その日の最後は3人いて、スタッフの私と、住人と、アメリカ帰りのヘルパー。
住人は印象に残った女の子ベスト3の名前をあげて、ヘルパーは「スケボーで遊んだこと」とぼそぼそ答えた。
私はたみのいつもの風景をぼんやり反芻しながら「地震のときかなあ」と言ってみたりした。そう言いつつ、蛍光緑のぶ厚いジャンパーを着た背中を思い出していた。彼は四ヶ月だけの常連さんでハイネケンばかり飲んでいたから、スタッフの中でハイネケンと呼ばれていた。(そのまんま)
突然亡くなってしまった彼がカフェを出る時の後ろ姿は強く印象に残っている。「気を付けてくださいね。また」と私は言ったし、「はい。また来ます」と言いながら、二度と会えない人もいた。
日常の中で、季節も人もころころ変わっていく。時々、しばらく鳥取を離れて戻ってくると外側じゃなくて内側もゆっくり変わっていたりもした。人の感情はいつも不安定で喜んだり怒ったり悲しんだり楽しんだり、繊細だった。ひとつの舟のように浮かんだり沈みそうになりながらそれでもこの舟がここに存在していたこと、その通り過ぎてゆく風景を眺めることはすごく贅沢なことだった。ここで、みんなに出会えてよかったと、ただそう思う。
知らない町を歩いてみたら、まだまだそんなゆれてる場所があるような、つくれるようなそんな気がして、新しく小さな舟を漕ぎだしてみることにした。
どこにいても、この場所での日々を大事に思いながら進んでいきます。
(い)