「たみの夏休み自由律俳句コンクール」大賞決定!

2021/09/27| Event

「たみの夏休み自由律俳句コンクール」大賞決定!

「たみの夏休み自由律俳句コンクール」では、全国各地からたみでの思い出をテーマにした145点の作品が集まりました。その中から審査会では大賞・優秀賞・審査員賞を選出し、オンラインと展示会場の投票ではオーディエンス賞が決定いたしました。

応募された俳句を審査員のみなさんと詠んでいくうちに、自由な詠み方が生まれ、充実した審査会となりました。詠み手によってちがったイメージが広がったときの感動たるや。まるで海辺で拾った自分だけの宝物をみんなに見せるような気分を味わえました。

ご応募くださった皆さまには、心より感謝申し上げます。さらに、オンラインや会場でたくさんの方に投票いただきありがとうございました。来年の夏も開催予定ですので、またぜひご応募ください!

大賞
丸山伊太朗『牛骨ラーメンも大花火で揺れたふけた食堂』
コメント:イベントでたみのキッチンを使わせてもらった。住み込みメンバーや泊まりに来る人、近所の人々。ここで私だけ年齢半世紀戻れたら、こんな場所に居たかったなぁー!自分の歳を忘れる。

審査コメント:
花火を視覚でも聴覚でもなく、触感として捉えてるのがおもしろく、花火で揺れるぐらいの建物の立て付けを想像させます。「ふけた」という言葉があることで、朗読するとどこで切ってもいい感じになる寛容さもあります。閉店した「ふけた食堂」へのさみしさや夏の大きな花火の華やかさを感じつつ、さらに「牛骨ラーメン」という具体性が入ることで、この取り組みがないと生まれない句なんだろうと思いました。

優秀賞
ゴロゥ『なんか知らない人がいる』
コメント:たみに泊まると、いつもなんか知らないひとがいてびっくりします。

審査コメント:
二回転半ひねりみたいな句で、知ってるからこそ「知らない」ということに目がいったり、わかってるからこそ「なんか」って言ったり、知らない人がいることをガチで驚いているわけでもない。といろんなところでひねられていて、この短い句にエネルギーがこめられているように思います。たみには知らない人がいるのが当たり前ですが、人との距離がふと近くなったり遠くなったりする「たみ」そのものをポップに浮き彫りにしています。


オーディエンス賞

ハートリー『帰省してはじめて君と待ち合わせ一車両編成列車のような会話よ「あたたたみがあるね、……いまのはなしにして君とガムシロップ残して発つ九月マサラチャイ色の雲雲雲東京で夢敗れてもTAMIのある街』
コメント:「たみ」の街の子どもたちは、街を離れて初めて、「たみ」を見つけます。
幼い頃、自転車で何度も通り過ぎたお店。幼心に、「流行らないよ」と思った変なお店。帰りが遅くなったとき、暗い路地に暖かな灯を漏らすので、何度か立ち止まったお店。
しかし、一度も足を踏み入れることのなかったお店。
街を離れた若者は、街に残してきた人や、記憶や、夢と再会しようとして、初めて「たみ」を訪れる、そんな気がします

獲得票数:32票

審査員賞
赤井あずみ賞

岩尾慎一『なつひめと二十世紀と新甘泉(しんかんせん)』
審査員コメント:
たみのある東郷地区では鳥取県内一の梨の産地。3つの青梨の品種名を並べただけのシンプルな構造ですが、訪れた先で自分の味覚や知識が更新された喜びと驚きが素直に表れていると思いました。七五調のキレも、シャクシャクとした梨の歯触りと瑞々しさによく合っています。また、近年開発された新品種が挙がっているのも、令和の時代を象徴しているようです。

大塚凱賞
ふじわらひとみ『何者でいてもいいって魯肉飯』
審査員コメント:
「魯肉飯」が季語でもなんでもないのに、異様な存在感を放っている。それは「何者でいてもいいって」という安堵と諦観とが入り交じったフレーズに、「魯肉飯」という(文字通りに)肉感的な物体をぶつけるという、五七五の定型の力によるものだろう。「魯肉飯」にまとわりつく蒸すような空気感、手ぶらな様子、まだ魯肉飯が胃にもたれないであろう肉体的な若さ、若さゆえのナイーブさ……自由律俳句というお題にもかかわらず敢えて定型をぶつけてきた、自由な心意気も買っている。

辺口芳典賞
ミヤジ『ここからフナムシたちのなわばり』
審査員コメント:
なんか人間のことばっかりで疲れてきたなあってときに
ここからフナムシたちのなわばり
が軽やかだった。
ふなむし【船虫】
ワラジムシ目の甲殻類。
体は長卵形、灰褐色で、体長約4センチメートル。
第2触角は長い。
胸脚はよく発達し、岩・船板などの上を群れをなして走る。
日本各地の海辺に分布。
海にふわふわ浮かんであるような『たみ』の近くには
フナムシたちが暮らしてる。

蛇谷りえ賞
ささき こうへい『行くたびに変わっていってさみしい』
審査員コメント:
たみではいろんな人と出会えて楽しいこともあるけれど、それと同時にさみしいこともある。作者のこぼれまくった正直さに「私だってさみしいよ!」と返答したくなりました。変わっていってさみしいからこそ、たしかめたくなる。そんな尊さを感じました。

三宅航太郎賞
あみこ『たみとまとみた』
たみの裏で、固定種のとまとをみんなで育てることになったものの、スタッフで共同で育てるトマトは、なかなかむずかしく、いくつかはうまくいっていくつかは枯れました。そんなたみの試行錯誤の夏の様子を定期的に見ていた作者(畑もしている)の気持ちが「たみとまとみた」から、にじみ出てるように思います。

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